ソーシャルレンディングにおける分散投資の効果 その3

3.事業者のデフォルト率を考慮したリターンプラス率

前回まではリターンがプラスになる確率(元本割れしない確率)を求めました。

今回はさらに事業者デフォルト率を考慮していきます。

2019年7月現在、ソーシャルレンディング事業者は30社あり、これまで大量返済遅滞を起こし、実質デフォルト状態となっている事業者は、みんクレ・ラキバン・グリフラの3社です。

今回はとりあえず事業者デフォルト率を10%として計算をします。

 

また、ソーシャルレンディング比較ブログのmatsu様のページを参考に、

案件デフォルト率を0.63%

https://matsu.cloud/risk/1433#063_417

 

 

投資の学校様のソーシャルレンディング各社の募集件数の比較を参考に、

案件1つあたりの平均利回りを7.17%とします。

https://matsu.cloud/risk/1433#063_417

 

 

また、案件がデフォルトした際は半額毀損とします。(根拠はないです)

まとめると次の通り

・事業者デフォルト率:10%

・案件デフォルト率:0.63%

・案件平均利回り:7.17%

・案件デフォルト時毀損率:50%(元本が50%残る)

 

 f:id:unipontan:20190703012037p:plain

見方ですが、横軸が事業者数で縦軸が確率になっています。

また、棒グラフが5種類ありますが、これは1事業者あたりに何件投資したかを示します。


なんとも悲惨なグラフになりました。

グラフより、元本割れを回避する最良の事業者数は15社で、そのとき元本割れ回避率は50~60%です。

(最良の、というといいすぎですが、分散する意味がでてくるのは15社~、ということです。)


逆に言えば、事業者を適切に分散しても現在のソーシャルレンディング環境においては40~50%の確率で元本毀損することになると言えます。

 

加えて、5種類の棒グラフは事業者数が同じであればあまり差がありません。

これより、案件分散効果よりも、事業者分散効果の方が支配的であることがわかります。

事業者選びは案件の目利き以上に重要なことであると言えるでしょう。

※なお、あくまでランダム(何も考えず)に案件や事業者を選んだ場合、での数字です。きちんと目利きしていればこんなに元本毀損する率は高くないはずですし、最適な分散事業者数もかわってくるでしょう。

 

4.まとめ

最後にフォローですが、事業者の数を増やせばリスク分散にはなるのですが、

今回の場合、いかんせん事業者デフォルト率が高すぎてあまり分散の効果が見えなかっただけ(だと思いたい)です。

これだと信頼のおける1社にたくさん分散投資するのがベストという風に見えますね。

ですが、実際にはそれはやはりリスクが高いもの。

今回のデータはあくまで今回の設定値でのものですのでご注意を。

 

また、今回の事業者デフォルト率は、単純に全社中デフォルトした事業者数の割合を使っているだけなので、信頼のおける事業者にだけ預けるのであれば事業者デフォルト率はもっと下がり、元本割れ回避率をぐっと高めることができるでしょう。

(事業者デフォ率が具体的にいくつ、というのはわかりません)

 

加えて、投資する一つ一つの案件を目利きすることで案件デフォ率を引き下げることができ、より一層元本割れ回避率を高めることができるはずです。

案件選び、適切な事業者選びはとっても大切だということが数式を使ってあらためてわかりました。

 

それではまた~

 

 

【補足】

今回使った数式です。

Σy=0m{B× mCyqy(1-q)(m-y) × Σx=0nAnCxpx(1-p)(n-x)}

(ただし、Ax>0 かつBy>0)

 

n:試行回数(投資案件数)
C:コンビネーション(組み合わせ)
x:投資成功する回数
p:投資成功する確率
(n-x):投資失敗する回数
(1-p):投資失敗する確率

 

m:試行回数(投資事業者数)
y:デフォルトしない事業者数
q:事業者がデフォルトしない確率
(m-y):デフォルトする事業者数
(1-q):事業者がデフォルトする確率

 

案件あたりの損益:Ax

 ⇒平均利回り*x-案件デフォルト時毀損率*(n-x)
事業者あたりの損益:By

 ⇒1事業者当たりの預金額*(平均利回り*y-案件デフォルト時毀損率*(m-y))

 

 

HTMLでの数式の書き方についてまだわからないところが多く、勉強中です・・・